明日は全科コンクール

12月19日は高崎美術学院の公開コンクールが開催されます。
当学院の公開コンクールは全ての科の受験生が同じ課題で実力を競い合います。
一般的に科間の垣根が根強い美術予備校界では珍しいイベントかもしれません。

採点や講評は全科の講師が参加し、幅広い視点からアドバイスが聞けるので、
改めて自分自身を理解したり、入試に向けて帯を締め直すよい機会になると思います。
加えて前日に行われた学科試験との抱き合わせ評価も行いますので、志望校合格のための
総合力の分析や入試に向けての対策が人それぞれ明確になってくるでしょう。

コンクールをきっかけにしてより充実した受験期をすごしてください。
いいデッサン、盛り上がる講評会を期待してますよ。

ちなみに参加無料、当日受付OKです。初めての方も大歓迎です。

構成塑像「手とロープ」

今週の彫刻科は塑像課題が2つありましたが、そのうちの1つの構成課題を紹介します。
普段は模刻や首像課題が多い彫刻科では比較的変わり者の課題かもしれませんね。
確かに、構成課題では塑像板の上の空間を自分でプロデュースすることが求められます。
気持ちのいい高さ、ボリューム、角度、明暗。難しく感じる人もいるかもしれません。

しかし、彫刻科において、課題を問わず求められるものがあることを忘れてはいけません。

「与えられたモチーフをしっかりと造り切る」

いくら構成が良さげでも、そのもの自体が中途半端だと見応えがしないですよね。
逆に、単純で簡単な構成でも、モチーフさえしっかりと造れていれば必ず評価されます。

今回紹介する2点の作品は、構成もきれいに見えますがそれ以上に個々のモチーフの存在感が目を引きます。
しかし両作品に共通している難点は「手の構造の弱さ」にあります。
ここを無視して高得点は望めませんよ。

来週も手を含んだ塑像課題があります。学期末の熱いリベンジを期待してますよ。

昼間部スマートフォンのK.Kさん

続いて夜間部S.Yさん

CGドローイング

namasu

油絵科N君のペンタブレットを使ったCGドローイングです。

線の軽やかさと偶然できた形が画面を面白く構成していますね。

本人コメント「北村氏がmomaへ持っていくそうです。」

油画科版画ゼミ(2)

先月行った版画ゼミで制作された作品をいくつか紹介します。

1.自画像の髪を炎へと変容させた作品。一版目を赤から黄へのグラデーションで巧みに刷り上げました。予定外でしたが二版目の縁よりはみだした所も作品の「あじ」となったようです。

篠原_P
平版(リトグラフ) S.Sさん 2版3色刷り・ブレダン紙 

2.言わずと知れたA.ミュシャの図版を利用した作品。背景の版がすぐに崩れてしまったため、急遽一版目を凹版(銅版)で作り直しました。両版とも細かな図柄であったため「見当」がなかなか合わず苦労していました。他にも背景色を変えた計4バージョンを刷り上げました。その中の一点、緑バージョン。

狩野_P
平版(リトグラフ)・凹版(銅版) K.Cさん 2版2色刷り・ブレダン紙

この版画ゼミを最後に今年の特別授業はすべて終了しました。
私大受験がスタートするまであと60日ほどです、ひとつひとつの課題を大切に、残された時間を有効に使ってがんばりましょう!

絵画表現─小動物をモチーフに─

油画科の絵画表現課題で、モチーフとしてウサギを出題しました。素描(水彩)と油画の3日間制作です。
最近の芸大・美大受験において、人物がただ座っているでけではなく、徐々にポーズが変化したり、かって気ままに動いたする出題が見受けられます。
このような、動作したり、変化するモチーフに対応するには、単なる状況説明力だけでなく、柔軟な思考と大胆な発想が必要となることでしょう。
出題者は予めから「こうあるべき」といった模範解答は考えていません。制作者がどのように感じ、考えたかが知りたいのだと思います。型にはまった「絵はこうあるべき」という考えから少し楽になり、楽しむことがなによりでしょう。

意図的(?)にあたかも子供時代に戻ったかのような、てらいや屈託のない伸びやかな表現。ドローイング的にとらえたウサギのフォルムはやや固いか…。作者が楽しく描いている様子がうかがえて好印象です。

w_takayanagi
絵画表現 素描(水彩) 油画科昼間部 T.Mさん TMKポスター・鉛筆・水性絵具

ちなみに、今回のモデルはタカビのアイドル「コンテちゃん」でした。お疲れさまでした。

池袋へお出かけ。

先日は生徒の皆でお出かけでしたね。
どうやら道に迷った人も、迷わなかった人も、迷う前に我を見失った人もいたようです。
今迄しっかりと訓練してきた成果と課題がよく表れたのではないでしょうか。
そういう意味ではとても有意義なお出かけだったのだと思います。
つまり、、
今気付かなかったらそのまま試験に、、、
そう思うとゾッとしますね。
今回皆がそれぞれ感じた事は後の大きな前進に必ずつながるでしょう。
自分の理想は、自分の感覚や趣向どおりには必ずしも成り立っていない。
デッサンや模刻というのは、ある意味それを知る為に課せられてる課題なのかもしれません。
しかしそれは自分を信じて全力で取り組んだ時に作品から跳ね返って思い知らされるものです。

自分にある何かが足りないと感じてしまったとき、
それは裏を返せば最も充実した仕事ができているときでもあります。
今日の彫刻科の講評会では、ろくな作品が並びませんでした。
はっきり言ってまだまだです。
でも、先週のお出かけで何かに気付いて、何かを乗り越えようとするエネルギーを僕は感じました。
なかなかいい姿勢で取り組めていると思いますよ。

近々、いいものが出来上がるのを期待するとしましょう。

油画科版画ゼミ(1)

毎年恒例、油画科昼間部版画ゼミが始まりました。例年10月の一期間を使っていましたが、諸般の都合により、今月の実習となってしまいましたが…。

実習は、昼間部がふたつの班に分かれ、各班3日間のなかで描画、製版、刷りと順を追って制作します。昨年は銅版画(凹版)でしたが、今年はリトグラフ(平版)を2版2色刷りで実習します。原画を2版に分解するため、プロセスにおけるイメージ力が要求されます。
作者と作品の間に『版』というメディウムを介在させることで生まれる、通常の絵画制作とはひと味違う『版表現』に触れ、学ぶ機会となることを期待します。
次週は実習で生まれた優秀作品の掲載を予定。

版画ゼミ01
版画ゼミ2

デッサン週間

秋らしい過ごしやすい日が続いていますが、
高崎の朝晩の冷え込みは既に冬を感じます。
季節の変わり目。
今が最も風邪をひきやすい時期です。受験生のみんなは特に気をつけましょうね。

さて、今週の彫刻科は石膏デッサン週間でした。
こんなに石膏づけになったのも久しぶりですね。
昼間部では塑像強化の成果もあり、確実な実力アップを感じます。


こちらは今年から彫刻科に転科した2浪のT中さん。
何故始めから彫刻科にしなかったのかと思うほど魅力的な仕事ができていますね。
これからはカタチを追うことと、形態を説明することのバランスが大事になってきます。


つづいて1浪のK林さん、最近はデッサンが破綻しなくなってすっかり頼もしくなりました。
体のカッティングラインに疑問が残りますが、見やすさと首周りの充実度が好印象です。


最後は1浪のH木さん。ブルータスのなかでも難しい位置で印象を合わせてくるあたりは流石ですね。
欲を言えば、少し構図を縮めて台座を入れた方が見やすかったでしょう。
今日がK林さんの誕生日だったこともあり、約4時間しか描けなかったのが残念です。

タカビは科を超えて生徒間の仲が良く、アットホーム環境だとよく言われます。
某大手予備校の若手講師がタカビのことを「最後の楽園」と呼んだほどです。
しかし、制作時間が犠牲になってしまう付き合いは、健全な付き合いとは言えませんね。
アットホームな空間でも個々がしっかりセルフプロデュースすることが大事だと思います。

明日は彫刻科は皆でお出かけですか。。
迷子にならないように気をつけましょうね。

あ、あと防寒も忘れずに!

アバタのビーナス

今週の彫刻科の塑像課題はオーソドックスな模刻課題でした。
夏期講習などには比較的大きな石膏像の模刻なんかもやりましたが、
今回は小さくて基礎の詰まったアバタのビーナス像です。

生徒達は微妙な量の傾きやねじれにまだまだ反応できずに苦戦していましたね。
どうやら全国の彫刻科受験生の今年の合い言葉は「塑像勝負」のようです。
例年以上に目標を高めて取り組んでいきたいものですな。

今回の写真は昼間部のK.Hさん。
彼女も例外ではなく最後まで量の調整に追われていました。
その甲斐あって、謙虚な観察から印象の良い模刻に仕上がりましたね。